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サボテンも草花や樹木と同じ様に病気にかかり害虫に犯されます。今回は、この対処方法と農薬の使用法です。

1、病気の種類と対処法

病 名 生 態 症 状 対 処 法 農 薬
灰色カビ病
カビ(糸状菌)でこの病気はすべて
の植物が感染する。気温がやや低く、
湿度の高い雨が多くて日照りが不足
しがちな時期(春先〜梅雨、秋口〜
冬初め)に発生する。温室では冬も
発生する。
球体が溶けるように腐り進行すると
灰色のカビに覆われる。発芽から1
年以内の実生苗で多く発生する。進
行が早いため1鉢全部が腐敗するこ
とがある。
発病してから殺菌剤を散布しても効
果はあまり無い。腐った苗とその周
りの苗を取り除き、風通しの良い場
所に移動させ水を切ると腐敗が止ま
ることもある。
ベンレート
ダイセン類
ダコニール
斑点性病気
(黒星病=黒斑
病=炭疽病=斑
点病=疫病など)
カビ(糸状菌)による。比較的温度が
高く雨が続く梅雨時に被害が目立つ。
風などで運ばれた胞子が付着して、
そこで適度な水分に触れるとカビが
活動を開始する。
肌の表面に褐色の斑点が付き、これ
が大きく成って組織内に進入する。
入り口付近で雨がかかる苗が罹りや
すい。
殺菌剤の散布でおおかた治まるが斑
点はそのまま残る。風通しを良くし乾
きやすい環境をつくる。
ベンレート
ダイセン類    
ダコニール
スス病 カイガラムシなどの排泄物を栄養に
して繁殖する。
肌の表面が黒いススの様なもので覆
われる。
吸汁性害虫の駆除が大切。 ダイセン類
ウイルス病
(バイラス)
ウイルスが原因。汁を吸う害虫、根
を整理したハサミ、接木のナイフの
使い回し等によって感染する。ただ
し、空気感染は無い。
肌に濃淡のまだら模様ができモザイ
ク状に見える。株が萎縮、黄化、斑
点など様々な症状が全身に現れる。
治療方法はない。発病した苗は早め
に処分する。害虫を駆除し、ハサミや
ナイフは熱処理若しくは第三リン酸
ナトリユウムの飽和液で消毒する。
無し
生理病 水分が多すぎたり、肥料のやり過ぎ
で起こる病害。
根に赤い筋が入る赤腐れ、根元が黒
く変色する黒腐れなど。
用土、潅水など管理上の問題。清潔
な用土を作り、低温での多湿を避け
る。
無し

※殺菌剤は予防を主目的としており。病気が発生してから散布しても効果は薄い。

2、害虫の種類と対処方法

害 虫 名 生 態 症 状 対 処 法 農 薬
カイガラムシ
(ワタムシ=コナ
カイガラムシ)
吸汁性害虫の代表。ワタムシ=コナカイ
ガラムシは軟らかい成長点付近の汁を
吸って生育する灰色の虫で刺の先にも
付く。400種以上いる中で大別すると固
着するタイプと動き回るタイプがいる。
殻を被ったりロウ物質で覆われている
ため退治が難しい。ただし繁殖力は弱い。
吸汁されるため生育が悪くなり、排
泄物によってスス病が繁殖する。環
境の悪い所に長時間置いておいたり
植替えをしていない弱った苗に発生し
やすい。また、柱、団扇に着きやすい。
見つけ次第歯ブラシなどでこすり
落とすか、薬剤を施す。
散布する薬剤は幼虫にはよく効く
が成虫には効果がない。
浸透移行性農薬のダイシストン粒
剤は効果大。
ダイシストン粒剤
ハダニ
(誤称アカダニ)
クモ類に属する吸汁性害虫、繁殖力も
旺盛で糸も張る。小さい虫だがよく見る
と動き回っているのが見える。赤い色を
したダニはアカダニと呼ばれているが殆
どは黒色、春から秋の高温感想を好む。
成長点付近に寄生して汁を吸い、吸
われた跡は葉緑素が抜け針で刺した
ような跡が残る。数が多くなると一面
に茶色に変色しこの時点で気ずく事
が多い。ロホホラ、コリファンタ属に被
害が多い。
水にすこぶる弱い。高温・乾燥状
態で発生する。潅水によって湿度
を保てば発生は抑えられる。
ダイシストン粒剤
殺ダニ専用剤
根ダニ
(ネジラミ)
根元に生息する吸汁性害虫。洋梨型の
2〜4mmの白い虫。ハダニの仲間。
根に寄生して養分を吸い取る。生育が
悪いため堀上げると根に白い綿がくっ
ついたようになっている。
水にすこぶる弱い。高温・乾燥状
態で発生する。潅水によって湿度
を保てば発生は抑えられる。
ダイシストン粒剤
殺ダニ専用剤
センチュウ
(ネマトーダ)
土壌中で生息する非常に小さな虫。
根に寄生して細胞をコブのように肥大
させて養分を吸収しながら繁殖する。
生育が悪いため堀上げてみると根に
コブが出来ている。地植えの株には発
生するが鉢植えではよほど汚い用土
でなければまず無い。
患部を切り捨てる。土壌消毒が有
効だがガス消毒となるため、取り
扱いは要注意。庭にマリーゴール
ドを1本植えておくと予防になる。
ダイシストン粒剤
ボルテージ粒剤
ナメクジ 夜行性。湿気の多いところに生息。 柔らかい部分の食害 見つけ次第捕殺。 専用薬剤
ヨトウムシ 夜行性。ガの幼虫。 甚大な食害 見つけ次第捕殺。 ランネート等
アリ アブラムシと共生するため害虫? 蜜を採りに集まり鉢の中に巣を作る。
種を持ち去る。
専用薬剤による駆除。 専用薬剤

※参考文献 住化タケダ園芸株式会社 「病害虫ナビ」


特記事項

1、農薬は必ず規定倍率を守ること。
  高濃度の場合、サボテンに焼け、成長停止、枯れ死等の障害が起こる。(体験より)

2、ダイシストン粒剤はサボテンの害虫に対して万能です。
  施し方は@5〜7月に1〜2回 Aスプーンで鉢の上に少量置くだけで後は潅水により殺虫成分がサボテンの
  中に取り込まれる B薬効は1ヶ月間 C購入は農協(印鑑が必要)で3Kg約1000円です。
  注意することは、@手で触らないこと A風下から施し数日は温室に入らないようにする。 B根が動いている
  状態で施すこと。よく植替え時に用土に混ぜる方がいますが、農薬に触れる時間が長くなり危険です。 また根
  が動くまでの時間がロスとなりますので、根が張ってから鉢の上に置く方法がいいかと思います。

3、殺菌剤のダコニールは万能のように言われているが、界面活性剤(膜を張る)のため実生床及び実生苗には不
  向きで、発芽しても根が土の中に入って行かない状態が起こり生長も悪く成ります。(体験より)

4、早期発見、早期駆除が長く丈夫に育てるコツです。

5、基本的に健康な苗は病害虫が付き難いものですので、農薬に頼ることなく堅作りに努め、温室内の環境を清潔に
  保つことが一番大事かと思います。


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